

もう行けない店、味わえない味、酔っぱらえないカウンター。100人の記憶と100軒の「二度と行けないあの店」についての追憶のグルメガイド『Neverland Diner 二度と行けないあの店で』のスピンオフ企画、全国各地の書店が編集し、地元のお店の思い出と写真で綴る「地元のネバダイ」ZINEの大阪ヴァージョン。編集はスタンダードブックストア。
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大阪は「くいだおれ」と言われるが、住んでいるこちらはピンとこない。
一般的に「くいだおれ」とは黒縁眼鏡に派手な衣装で太鼓叩いてる道頓堀のおっさんではなく、食べることにお金を使い過ぎて無一文になるという意味らしい。私はそんな散財をしたことがないし、来阪する方の「くいだおれ」はどちらかというと粉もんや串カツの所謂B級グルメとやらで、散財を食いつぶすこととは無縁だ。安くてうまいもんを食うことに血眼になっている。(個人的にはほんまの「くいだおれ」はそうではないかと思うがここでは書かない)
各著者は『Neverland Dinnerーーー二度と行けない大阪のあの店で』への寄稿にあたり、A級もB級もC級もなく、なんならうまいかどうかもすっ飛ばして、その店の主や働く人、その店に集まる人の人間的魅力、さらに彼らとの交流や街との関連性の素晴らしさを伝えているはずだ。「二度と行けないあの店」は「二度と味わえない」というよりも「二度と会えないあの人、あの雰囲気」ではないだろうか? そういうことが伝わればいいなあと思う。
中川和彦(スタンダードブックストア)
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編 集|中川和彦(スタンダードブックストア)
発 行|2021年7月21日
発行所|ケンエレブックス